和泉 · 2013-09-01 10:52:14 UTC+9 · 投稿 #553
ご無沙汰しております。
先日、Leos Carax の「HOLY MOTORS」を世田谷の映画館で見ました。何だか解らないけれど印象的でした。何人もの人物に変貌する主人公が、(1) 途中でメルドに変身し、車の中で幕の内弁当を食べたり、(2) 街を綺麗綺麗に撮らずに、上空から墓場まで撮り、墓場にいたモデルを主人公が誘拐・・・でも最後の画面は宗教画のようになって・・・など。「これっていったいどうよ?」が実感でしたが面白かったです。
前作の「POLA X」は YouTube では仏語の上に露語が重なっており、チンプンカンプンで、途中までしか見ていません。原作はメルヴィルなので、そちらの方を読みたいと思っています。
「レ・ミゼラブル」の映画化も見ました。最初は原作とイメージが違って「あれれ?」という感じでしたが、まったく別バージョンと考えて、画面の構図、色彩がとても良いと思いました。音楽は crooning って感じがしました。ジャック・ブレルとか、フランソワーズ・アルディとか・・・私の頭が古いのか?原文はコゼットのところで止まっていて全然進みません。
それ以前に聖書が・・・。日本語のもワケ解らんのですが、「福音」は Good News、Gospel、Glad Tidings...う~ん。それに「義」ですか、right、righteousness これも理解できません。strong も意味がどの範囲なんだか・・・。いつまで経っても入口です。
ウラヌス · 2013-06-23 21:38:37 UTC+9 · 投稿 #552
先生も翻訳の文章はぎこちないと感じていらっしゃるようですけど、私も同感です。実は私が時間がかかっても原書を読みたいのは、翻訳文が好きになれないからです。どうも名画の下手な複製のような気がするのです。フランス語の文章はそれにしてもキレがよく明快だと思います。
ウラヌス · 2013-06-23 21:07:29 UTC+9 · 投稿 #551
非常に詳しい回答を早速書いて下さったことに感謝します。先生の回答を見て思ったのは、たとえば、現代思想なら日本語でその分野の知識や理解を高めることが、当たり前ですけど、フランス語でこれらの書物を読むのに便利になるということを再確認しました。私は日本語であまり思想とか哲学の書物を読まないので。現代思想のものではフランス語のほうが明快なのは確かに思われます。たとえば、フーコーは難解そうな気がして敬遠してましたけど、読むと、一文が短く、簡潔なのが印象深いです。ただ文学の場合はどういう単語が特に出てくるという訳でもないので、その点が難しいように思います。ちなみに私は紙の辞書を使います。
sekko · 2013-06-23 20:19:25 UTC+9 · 投稿 #550
ご愛読ありがとうございます。
フランス語を読む速度ですが、もちろんある程度の単語力は必要ですが、後は、読む本の内容によると思います。自分の興味のある分野、日本語でも類似のものを読んだことのある分野と、全く専門外のものとは比較できません。
得意分野や軽い読み物(総合雑誌の記事とか)なら、分からない単語があってもある程度読みとばしていくといいと思います。
分からない単語がある度に、その行の横に一応しるしをつけておいて、それが何度も出てくるような言葉だとか重要な言葉だったと分かった時には、少し後でまとめてチェックすればいいと思います。
一見知らないと思う言葉でも、字面をよく見れば、日本語で漢字を見ればなんとなく意味が分かるように、語根や接頭接尾語で類推できることも多いです。
後、フランス語は、基本的にセンテンスが短いほどエレガントだと見なされている言葉です。関係代名詞がずらずらと続くようなものは、悪文か、英語などの翻訳か、確信を持ったスタイルかです。
学者の中には日本人でもそうですがわざともってまわったような文を書く人もいます。そういうのはスルーした方がいいです。
私も最初の頃は、なかなか意味のとれない文を読むと、自分がフランス語力が足りないせいかと思ったことがありますが、今は、興味のある分野でおもしろそうなことを書いているはずなのに悪文というものにぶち当たると時間の無駄なので結論部分しか読みません。
私は日本語を読むスピードは平均よりかなり速いですが、日本語にも悪文はあるし、特に翻訳文には分かりにくいものが多いと痛感しています。
もちろん、日本語でも自分の知らない分野の専門書は読みにくいですが、逆に、フランス思想系の本などは、昔、日本語訳で読んでえらく難解だったものが、後にフランス語で読んだらすっきり明快というケースの方が多かったです。
昔は、パリマッチなどの大衆誌を読む速度は日本の週刊誌を読む速度と変わらないことが分かって、今は、自分の守備範囲のものなら日本語と同じくらいの速度で、つまり、普通のフランス人より速く読めます。
ただし、東洋史東洋文化ものや科学読み物はほとんどすべて日本語で読みます。中国語の固有名詞がアルファベットでたくさん出てくると、イメージが湧かずにギブアップです。
また、ある時、非常に興味ある分野の生物学の本をわくわくしながら読み始めましたら、自分が「drosophileショウジョウバエ」というフランス語すら知らなかったことに気がついたことがあります。よく考えたらショウジョウバエがどんなものなのかだって、よく知らないのですが、日本語で読むと「実験に使うハエ」という認識だけですらすら読めるのに、知らないフランス語だと何か大切なキーワードのような気がして…。
動物植物、地理学、化学、物理学、数学系の語彙も少ないので、やはり基礎語彙なら高校卒業までに全部習った日本語で読むことにしています。でも、その内容がおもしろかった時にそれをフランス人に披露しようとするとやはり語彙が貧弱なので困りますが。
音楽学の本はフランス語の方がずっと速く読めます。日本語で「変ロ短調」とか言われてもフランス語に訳さないと音楽のイメージが全く湧きません。
私の場合、英語も、得意分野のものなら辞書をひかずに、というか頭の中で翻訳せずに読めますが、小説などでは、原文が悪文なのか自分の語学力不足なのかの判断がつかないことが多くて時間のロスなので、ミステリー、SF、科学ものは、すべて日本語訳で読むことにしています。評価の定まった文学作品や詩などは又別枠ですが。
ギリシャ語ラテン語なども、時間をかけて読むよりも、フランス語訳なら信頼できる訳本かどうかを判断できるので、ピンポイントで原文に当たる時に理解できる程度でいいと今は割りきっています。大学ではドイツ語が英語の次の第二外国語で、中国語やスペイン語やペルシャ語も何年か習っていましたが、今やギリシャ語(荒井献先生に習いました)やラテン語(アテネ・フランセに通いました)と同じお客さま扱いです。
というのも、平均よりも、書くスピードも読むスピードも速いはずの自分が、年ごとに増える情報量の前で、今「読みたい」と思っている本「書きたい」と思っている本ですら、残りの人生で読んだり書いたりできるかどうか分からないことが実感できるので、欲張りや高望みはやめたのです。
翻訳の充実という点だけでも、日本語とフランス語を同じレベルで読めることには感謝しています。
長々と書きましたが、言いたいことは、
1.テキストの吟味と選択、
2.日本語とか外国語に関わらず一般的な読解力の向上と守備範囲の自覚、
のふたつが基礎になるということです。
私はいわゆる翻訳をする時以外は、ほとんど仏和辞書は使いませんし、使う時もたいていは、日本語でなんと言えるのかを知りたいだけで、いわゆる「意味」はすでに分かっているものが多いです。意味のわからないものは仏仏辞書で検索します。
でもごくたまに知らない単語の意味を知るために紙の仏和辞書を繰っている時、すごくわくわくします。その単語はずっと前からそこにあって、見てもらえることをずっと待っているのだ、運命の出会い、でもアルファベットをたどっていったら絶対に出会える、そこにあるという信頼感に満たされて嬉しくなります。それを見出した時には辞書の編集に携わった人々の息遣いまで感じます。
特に19世紀あたりの耽美的なテキストにある単語はけっこう出ていますから。先人の苦労に感謝、です。
逆に、私のもっている40年くらい前の仏和辞書には今風の言葉や専門語はあまりないので「出会えない」ことの方が多く、だからほとんど使わなくなっているのですけれど。
ウラヌスさまの引かれるのが電子辞書か紙の辞書かは知りませんが、言葉の意味を調べるという、フランス語と日本語が出会う刺激的な場面に出会えるのだと思えば、たとえ読書のスピードが上がらなくても、リッチな時間を過ごされると思いますよ。
ウラヌス · 2013-06-23 17:27:10 UTC+9 · 投稿 #549
竹下先生、はじめまして。先生の著作に興味があり、ブログも読ませていただくようになりました。フランス語の学習方法で質問ですが、私はフランスの文学や思想に関心があるので、原書で読んでいます。今のところフーコーが辞書を引きながら一時間に6ページくらい、小説なら18、19世紀のものでおおよそ一時間に5ページから6ページくらい読めるのですが、更に読解力を高めるには、たとえば一時間に6ページを10ページくらい読めるようになるにはどのように勉強すべきでしょうか?中級以上の学習方法がわかりづらいので質問します。