私にとってのフランス

私にとってのフランス

Sekko · 2011-11-15 07:07:51 UTC+9 · 投稿 #659

ええと、私は一度もフランスに「恋」なんてしてませんよ。大学でとった第二外国語もドイツ語だったし...フランス語専攻のクラスの人には何となく「きざ」なイメージを持っていました。

イギリスは、特にロンドンはあの陰鬱な気候が苦手です。
アングロ・サクソンなんてギリシャ・ローマ的見地から見たら野蛮人だろ、という意識もいつもどこかにあります。アメリカは人種差別の偽善的ピューリタン国のイメージがありました。

フランスに来たのは、両親から留学するなら「先進国の首都」と言われたからです。ヨーロッパの他の国にアクセスもよさそうだし、ケルト-ラテン-ゲルマンのシャッフル具合もちょうどいいし、インテリは概して親日だし、直接戦争もしていないし、ということで決めました。

ヨーロッパではミュンヘンも住んでみたいと思いましたが、ドイツ語が今は不自由です。


あと、パリの音楽師範学校のクラシック・ギター科がその頃はヨーロッパで一番いい先生がいるということで入学したのです。

いろんなことにこれという幻想を抱いていなかったせいか別に失望もしませんでした。フランス語というのがいろんなことを考えるのに使い勝手がいいというのはいつも思っています。私の場合、永住はやはりフランスというかパリ周辺でしょう。

もともと都会で生まれ育ったので、地方や大自然に憧れる気もありません。先祖から何代も住んでいた地元とか故郷というのもないので、今は漠然と「日本」が故郷でちょうどいい感じです。

パリに住み始めた頃から、女性が年とって行くのは、日本よりフランスが断然いい、と思いました。日本は子供や学生の天国でしたし、若い女性もちやほやされて楽しいでしたが、一定の年齢を過ぎると差別的です。

フランスでは家庭や社会で期待される役割への同調圧力もなく、何より自分が外国人であることからくる視点の自由を保つことができます。フランスにいれば完全にバイリンガル、バイカルチャーでいられますが、日本にいけばすんなり日本人になってしまうので失うものが多い感じです。

社会保障がしっかりしているので、年寄りや病人や障害者など弱者には住みやすい国ですから、永住にぴったりです。自由競争や冒険心でのし上がっていくような社会ではないですから、私のような競争心のない者には楽ですし、何事もがんばりすぎないフレンチ・エレガンスも好みです。

正直いって、地震がないことで精神的にも安定します。台風もないし、私の住んでいる街には川がないので洪水もありません。まあ、原発そのものはたくさんあるし、テロリズムのリスクだとか街のセキュリティだとかでは日本の方が安全な気がします。でも、自然の条件がいいことは楽です。昔から多くのアーティストがパリを死に場所にした気持ちは分かります。

まあ、グローバリゼーションの影響でフランスもかなりアングロサクソン化して世知辛くなりましたが、それでも、いいところは自覚的に残されているので居場所は見つかります。

インタネットのおかげで、日本にいた時よりもこうしていろんな方とお話しできているし、つながりもできたりして、その意味でもホーム・シックとかはないですね。両親とも亡くなったので「義務」も消えたし、今は私のできる限り、日仏関係の進化に寄与したり、バイカルチャーの私の立場をいかして何かの助けになったりをささやかでも続けて行きたいです。