単行本 キリスト教の謎 奇跡を数字から読み解く

単行本 キリスト教の謎 奇跡を数字から読み解くの表紙

本の紹介

一神教、三位一体、七つの大罪、十戒、十二使徒、十三日の金曜日など、1から13までの数字が象徴する奥義を解読。史学・神学・心理学・美学・社会学などの観点から多角的に分析。

著者のコメント

この本には「奇跡を数字から読み解く」という副題がついている。

「数字から」という発想は、以前から、キリスト教を語るには「一神教」と「二元論」と「三位一体」 という「一、二、三」から始めなければならないと考えていたことに由来する。

後は、数字に合わせてキリスト教のコンテンツや関連事象について風呂敷を広げてみたわけだけれど、 これらのコンテンツを合わせても、それがキリスト教だというわけになるわけではもちろんない。けれ ども、「一、二、三」のキリスト教がなければ、この本で紹介した諸々の事象は何一つとして起こらな かった。

「奇跡」というのは「奇跡の治癒」や超常現象という意味での奇跡ではない。ローマ帝国の属領だった ユダヤ人の国で二千年前に生まれたキリスト教が普遍宗教として成立し、分裂し、進化し、増殖し、ヘ レニズム世界を席捲するほどに有力な宗教となって、最初の「一、二、三」から限りなく遠くなったの にも変わらず、原型記憶と復元機能を発動して生き延びたこと自体の驚きだ。

キリスト教美術のインパクトにもあらためて感慨を深くしている。 神々や怪物や超自然の表現は古今東西の文化においてそれぞれ個性的なものが存在するけれど、「人間 」、正確に言うと「苦しむ人間」の表現については、「人となった神が苦しんで殺された」という場面 を繰り返し強迫的に描いてきた西方教会の文化が突出している。 人が生前の悪行のせいで地獄に落とされて苦しむというタイプの図像はどこにでもあるけれど、イエス の受難を通して、無実の罪で苦しめられる男やその死んだ息子を抱きかかえて悲嘆にくれる母の姿など が微に入り細に入るリアルな形で繰り返し描かれてきたというのは考えてみると人類の美術史における 途方もない出来事だった。

近代以降の世界では、この「奇跡」の舞台となった「西洋」の国々が「覇権国」として地球の隅々にま でその文化を伝播した。そのせいで、人の内面を表現するタイプの具象美術もまるで普遍的なもののよ うに感じるけれど、キリスト教なしには今のような形ではあり得なかったとつくづく思う。

いわゆるキリスト教文化圏の国々ではそのような特殊な表現がデフォルトになっているので気づかない けれど、日本のような国の文化を継承している人々がキリスト教由来のさまざまな事象を自分のものと できることの豊かさはかけがえがない。

この本をこういう形で読んでいただけることを可能にしてくれた関係者に感謝します。

書誌情報

出版情報
256頁 2600円+税
出版社
出版社: 中央公論新社
ISBN
978-4-12-004845-6

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