コンスピリチュアリティ入門

本の紹介
スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか
内容紹介
コンスピリチュアリティに関する初の論考集
「Qアノン」、新型コロナ生物兵器説、自然食、イルミナティ、そして爬虫類系宇宙人による人類の支配。
政治的影響力を持つまでに至った陰謀論と、その背景にあるとされるスピリチュアルな世界観。
この2つをともに論じることを可能にする注目の視座「コンスピリチュアリティ」を日本で初めて紹介した論集。
気鋭のライターから西洋オカルティズム研究の大家まで、多彩な執筆陣が明らかにする陰謀論+スピリチュアリズムの最前線。
書誌情報
- 著者・訳者等
- 横山 茂雄 著 / 竹下 節子 著 / 清 義明 著 / 堀江 宗正 著 / 栗田 英彦 著 / 辻 隆太朗 著 / 雨宮 純 著
- 出版情報
- 創元社
- 出版情報 28
- 叢書パルマコン・ミクロス03
- 出版情報 29
- 296頁 定価:2,420円(税込)
- 判型
- 判型:四六判 188mm × 128mm
- 造本
- 造本:並製
- 刊行日
- 刊行日: 2023/03/23
- ISBN
- ISBN:978-4-422-70127-1
著者のコメント
創元社から発売の共著です。
コンスピリチュアリティというのは「陰謀論」と「スピリチュアル」が合体したというか、互いに親和性をもって進化してきた現象のことだそうです。
私はそれをフランスからの視点で書いてみました。
この本の全部について読んで分析したわけではありませんが、着眼点を見て、いろいろ考えさせられました。
この状況は、クライシスでもあり、実は、ポスト・ポストモダンの混迷の中から新しい知のパラディグムを模索するきっかけになるように思われてきました。
ウォーキズムから、反知性主義から、プーチンのスピリチュアリティまで、すべてが、何から生まれてきてどこへ行こうとしているのかが見えてきたようにも思えます。一見、荒唐無稽で非科学的な言説が、アングロサクソンの共同体主義の中で、ポスト・プロテスタンティズム、ポスト・ビューリタニズムの流れを作っているのです。フレンチセオリーとされているポストモダンの脱構築とは似て非なるものです。
「西洋近代」が掲げた最もましなイデオロギーであるユニヴァーサリズムがつぶされようとしています。
日本人は「白人」ではないという強みがあります。
カナダのある演劇が、アジア人と黒人を排除したそうです。
ジェンダー、性別などないことにして取っ払え、といっているのに、男は女になれるし女は男になれる、異性愛や同性愛も存在するのも矛盾ですが、肌の色はないことにはされません。レイシズム批判は「赦しのない批判」です。
アメリカの「白人」は「黒人」に謝罪することだけが許されていて、「黒人」になることは黒いメイクをすることすら許されていません。ジェンダーは自己申告できるのに人種は自分で変えられない。
私は人種別統計を禁じるユニヴァーサリズムの国フランスに住んでいて、今や「反差別主義者」から吊るしあげられる「白人」でもなく、「男」でもなく、「若者」でもないという立ち位置で見えてきたり論じたりすることがたくさんあってラッキーです。
ここまで書いたこと、意味が分からないかもしれませんが、このコンスピリチュアリティというのは「カルトとオカルト」との関係にも似ています。
カルト宗教は宗教の逸脱ですが、オカルトは宗教の根に関わっていて、実は最も人間的な部分に訴えてくるものでもあります。
オカルトについて比較宗教的にもアプローチする本を創元社から出版予定で今執筆中です。その中でプーチンのスピリチュアリティにも触れます。プーチンと言えば、正教を利用しているだけで、スピリチュアルな言説など口実に過ぎない、と西洋からは思われていますが、ソ連崩壊のリアクションにはパガニズムが跋扈したし、ロシア正教だけではなく、広いロシアのステップ地方のコスミックなシャーマニズム、イスラムスーフィズムの影響も受けています。ソ連時代にも、潜水艦の位置を見つけるのに「霊能力者」を起用していたという話もあります。三つの一神教をまとめ上げたフランスのルネ・ゲノンのオカルト本はロシア語に訳されて流布していました。
社会現象としてのコンスピリチュアリティをアングロサクソンの外から見ながら、今の世界の混迷の中で、どの方向に一番ヒューマンな解決策を見出せるかと模索中です。
とりあえず、この『コンスピリチュアリティ入門』への参加に声をかけてくださった関係者に感謝します。